前に桜坂で見た映画「ホテル・ルワンダ」は、
それまでの人生で最も大きな衝撃を受けた映画だった。
その「ホテル・ルワンダ」以上の衝撃を受けたのが
この「闇の子供たち」だ。
昨年の作品がアンコール上映されていたのを見てきた。
正直、見終わった直後に清々しさに包まれる映画ではないと思っていたが…
まさかここまでとは思わなかった。
目を背けたくなるシーンの数々には嫌悪感という言葉では言い表せない感情がうずまいたが、ここで目を背けていたら何のために見に来たんだろうと思い、努めて冷静に見た。
予備知識として臓器移植の関係者が “あのような臓器移植は現実にはあり得ない” という主旨で答えるインタビュー記事も見ていたため、「これはあくまでも(小説を原作にした)フィクションであって、決してドキュメンタリーではない」という認識をもってのぞんだつもりだったが…
臓器移植はともかく幼児売春のくだりや描写のいくつかは、つくりものであっても決して “あり得ない” 状況ではないだろう。
それは舞台のタイに限らず世界のあちこちで。
言い知れぬ不快感はそこからきている。
これほどまでに難しいテーマを真正面にとらえた監督やスタッフ、そして今の日本で本当に一線で活躍する俳優陣が取り組んだ映画とはどんな映画だろうといった好奇心から見に行ったが、映画を見終わって素直に彼らの勇気を褒め称えたい。
見終わってみると、生半可な思いや努力では成し得なかった映画だと実感する。
そして驚くべきはタイ人や外国人出演者たち。
男性も女性も、そして日本人では不可能と思えるような子供達の演技は、筆舌に尽くし難い。
もしもドキュメンタリーだと勘違いするほどリアルに感じるとしたら、彼らのすばらしい演技やこの作品に出ることを決めた勇気によるものだろう。
だれにでも勧められる映画ではないけれど、
興味があればぜひ見てほしい。
ここまで辛辣で骨太な内容と、旬な俳優が揃う映画はまれだと思うから。
「闇の子供たち」は桜坂劇場で1/30まで
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