これまでに 平田大一さんが関わってきた主な地域おこしの舞台 は、うるま市、那覇市、浦添市、八重山(石垣島)のほか、金武町(きんちょう)があると聞いていた。
2007年に勝連の阿麻和利に出会って以来、那覇(那覇市青少年舞台プログラム)の舞台も観てきたが、そのほかの地域の舞台も機会があればぜひ観てみたいと思っていたところ…
今回、幸運にも公演前日の新聞(小さくあまり目立たない記事)で金武の舞台があることを知り、さっそく観てきた。
それは、金武町出身で沖縄の海外移民の父と呼ばれる偉人、當山久三(とうやま・きゅうぞう)の人物像に迫る物語を、町内の小学生から高校生のおよそ30名(公演リーフレットより)が演じる舞台だ。
阿麻和利の100名強から比べるとスケールは小さく感じるが、これまで観た平田作品(平田さんが起ち上げに関わった作品)の中で、一番あたたかい気持ちになって感動した舞台だった。
これまで観た作品とは違って 涙はなく、幸せな気持ちにさせてくれる感動といってもいい。
冒頭の挨拶で平田さんも言っていたが、とにかく《手作り感》がいっぱいで、観ていると本当に応援せずにはいられなくなるような雰囲気 なのだ。
もしかしたら、阿麻和利や那覇の舞台も始めた当初はこんな雰囲気だったのかも知れない。
それぞれ今では出演人数も増え、周囲の協力体制、大きな自治体、プロの大人のバックアップなどが充実してきた結果、今の雰囲気(完成度の高い舞台、という印象など)になった…
それは出演者や関係者が努力を積み重ねてきて発展してきた結果だと思うが、その反面当初あったその《手作り感》は感じにくくなった、と言えるのではないか。
金武の子ども達、當山久三ロマン演劇団の活動も5年にわたって続いてきたということだが、金武町という場所の地域性なのか、単純に規模の違いなのか、そのあたりのさじ加減が実にイイ感じで今に続いてきている ように感じた。
小学生&中学生よりも高校生が少ないこともあって、明らかに体つきの小さい子たちが演じて踊っている姿は、観ていてほほ笑ましく感じるから、と言ってしまえばそれまでなのだが…
ワンシーン終わるごとに毎回温かい拍手が起きるのは他の舞台ではなかった。
でもそんな中にも、自分たちの地元の偉人がどんな人か観ている人に伝えよう、という骨太なメッセージもしっかり伝わってくる のだ。
また、ダンスは複雑な振りにもかかわらず皆の息が合っていてノリもよく、見ごたえがあった。
なかでも他の舞台では観られなかった太鼓の演奏などは、結構な技術が伴った演奏と思われ、時間も長くかなりの迫力に圧倒された。
高校生2名+中学生3名のバンド(ユニットQ3)編成には、フルートも入っていてこれも意外性があり面白かった。
平田さんは “(現在の自分の立場である)監修というのは、応援しているということです” と言っていたように、演出として参加している他の舞台と違って、今はあまり口を出していないのかもしれない。
でもそこには、同じ楽曲で同様のダンスを踊っているということ以上の何か、《平田イズム》とも呼べるような、熱くそしてさわやかな感動を呼び起こす、なにかしらの浸透した空気があった。
それは子どもも大人もいっしょになって本気で自分たちの根っこを見つめ直そう、ということではなかろうか。
ちなみに小学生が多い舞台に親近感を覚えたのか、いっしょに行った子どももこれまでの平田作品に比べて一番楽しんでいたような気も…(?)
とにかく、観に行けてよかった。
本当に驚くほど楽しめた舞台だった。
年に2回程度のペースで公演しているということで、できればまた次も観に行きたい。
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